診断基準からみた、便秘の奥深さ

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先日学生から「硬い便がでるのは、便秘ですよね」と言われました。とてもメジャーな症状なのに、時に診断が難しいことがあります。便秘のいろいろを診断基準の観点からみていきます。

厚労省の統計によると、日本人の約500万人弱が便秘だと感じています。若年では女性に多く、60歳を超えると男女共にぐっと増えます。しかし、外来で「便秘」を訴える患者さんの話を伺うと、人によって判断基準が様々異なっていることを感じます。数日排便がないなど、「1週間における便頻度」で判断される方もいれば、コロコロしたような「便の硬さ」が基準の方もいます。

便秘の分類、実はストレスで便秘になることも

「便秘」というと、腸の蠕動能力が下がっていると思われることが多いですが、実は必ずしもそうではありません。世界的に使用されている機能性消化管疾患Rome基準があります。この基準を書いた本は広辞苑並みに分厚く、世界中の研究結果、論議結果が掲載されています。

※2016年5月にRomeⅣ新基準がでましたが、日本語化されていないので、RomeⅢ診断基準を用います。

 Rome基準の便秘関連項目では大きく、下記二つがあります。(画像クリックではっきりした画像がでます)

・機能性便秘

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・便秘型過敏性腸症候群(便秘型IBS)

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 機能性便秘の中でも、腸管通過時間が通常と変わらないものから、ゆっくりになるものまであります。腹痛は普段ほとんど感じません。一方、便秘型IBSは、ストレスと密接に関連し、腹痛を感じると硬いコロコロ便が出やすく、排便すると症状は楽になります。時に、腹痛時に便秘や下痢を繰り返す方もいます。

腹痛があり、硬い便がその後出ることがあるが、おさまってしまえば普段の通常便がでる、というかたは便秘型IBS、一方で慢性的に硬い便や便の頻度が週に3回未満のかたは機能性便秘の可能性があります。

腸を動かす薬が悪影響のことも

便秘型IBSは10代の若年から、高齢者まで広くみられます。IBSは腹痛出現時に腸の動きが活発になりすぎて、うまく便を肛門側へ押し出せずに、便が硬くなることが言われています。高齢者の便秘の際、腸の動きが年齢の影響で落ちているからだろう、と腸の動きをあげる薬を投与しすぎると悪影響が生じることもあります。

50歳以上の便秘は大腸がんや他の2次症状の場合も

機能性便秘や便秘型IBSは6ヶ月以上症状が続いていることが前提です。便秘や下痢を繰り返す際に、大腸がんや糖尿病、他のホルモン系疾患などを合併していることもあります。これらの検査で異常がないことを確認してから、便秘の治療を開始してください。

体の中にある約6mの ブラックボックスである腸。便秘も結構奥深いものなのです。機能性便秘と便秘型IBS、異なる病態と考えられている理由、それぞれの治療法など、後日また書いていく予定です。

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