朝、おなか壊して肛門いたい。電車満員だし、しんどい…
日々、腹痛や下痢、便秘症状がある患者さんの診療を行っていると、肛門痛の相談が結構あります。しかし、男性も女性も、なかなか家族や友人におしり周辺の辛さを話すことはないですよね…。そしてなかなか病院での相談や治療への一歩を踏み出せず、いつの間にか悪化して下血や強い痛みを繰り返して、やっと受診する…というケースが見受けられます。
痔が痛いけど、近くの人には話しにくいよね
意外といる過敏性腸症候群もあり、痔でも困っているという方。まずはこれをお読みのみなさんはいかがでしょうか。個人情報は守られますので、まずは以下ご投票ください。
私IBSだと思うけど、時々おしりの痛み(痔)でしんどい
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肛門痛や排便後に鮮血がみられたら
痔からの出血は、排便後、気づいたらトイレの便器に「真っ赤な」血液がみられたり、トイレの水がピンク色になっって気づかれることがあります。またトイレットペーパーで拭いた際に、鮮血がつくこともあります。一方、大腸内部での出血が疑われる場合は、便に赤〜暗赤色のねっとりした血性物がまとわりついていることが多いです(大腸深部では便に混ざり込んでわかりにくくなることもあります)。
肛門痛は、便が硬いと切れるなどで生じやすいと思われがちです。しかし、腹痛が強く下痢をして腹圧がかかった時なども痛みが出ることがあります。イスに座った時や歩行時にも痛みを感じることがあります。悪化してくると肛門の外に飛び出すような感じもあり、用手的に押し戻すなどで対処している方もいます。
肛門痛や出血は他の病気がかくれていることも
大腸〜肛門で血液がみられる(下血)場合、大腸癌や大きめの大腸ポリープや、潰瘍性大腸炎、クローン病といった炎症性腸疾患がかくれていることがあります。これらは放おっておくと命に関わることもあります。
特にクローン病について、消化管内の炎症・潰瘍だけでなく、治りにくい痔(難治性痔瘻)が合併することもあります。頻回の腹痛や水様下痢に加えて、下着に黄色っぽい膿汁も付着する場合、早めの消化器内科受診をおすすめします。
家での自己対処法Tips(病院で重大な消化器系疾患が見つからなかった人)
(ここから先は、肛門痛や下血があって医療機関を受診したあと、大腸癌などの大腸腫瘍や炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)の心配はいらないといわれた方々へ向けて書いています。)
肛門科などを受診して軟膏や内服薬を処方された場合は、それをご使用ください。その他、薬局などでも肛門に使用できる軟膏や座薬が多数売られています。「薬局で痔の薬を買うと、人に知られてしまいそうで…」という方、オンラインでも購入が可能です。
「指で直接お尻に塗るのは抵抗がある」という声も時々聞きます。そのような場合は、私達医療者が病院でよく使う、使い捨ての手袋をはめて、指の先端から第一関節くらいまで軟膏をのせて、肛門につける方法があります。ちょっとした工夫で、日々の肛門ケアを行いやすくなります。