「なかなか言えないけど、便秘で困ってるんです」
特に女性で悩みを抱えている方、多いかと思います。
- 病院に行くほどではないけど・・・
- ネットで調べても、なんだかよくわからない
- 薬局の便秘薬で様子見ているけど、手放せない
日本人の正確な大規模統計はありませんが、アメリカ人の女性の4〜5人に1人は便秘症と言われ、女性は男性の2〜3倍多いとされます。これだけ沢山の人が困っているのに、様々な情報が飛び交い、症状のコントロールが難しいのはなぜなのでしょうか。
便秘の原因:「腸の動きがゆっくり」だけではない
若い人も含めた、女性の便秘の原因として、主に下記があります。
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大腸運動、押し出す力の低下
大腸は常に動いており、小腸から受け取った消化物を肛門に向けて送ります。腸管蠕動運動があっても、動きが噛み合わずに、前に押し出しにくくなる場合もあります。
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骨盤底筋群、周囲の連携機能低下
過度ダイエットや、運動不足など、筋力低下により、直腸・肛門周囲の神経-筋連動が悪くなることがあります。また出産や手術により、骨盤周囲が影響を受け便秘になる方もいます。
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便秘のタイプと異なる治療内容
腸蠕動はあるのに、腸を動かす薬を飲むと腹痛が強くなったり、また水分が少なくて便が硬いのに浣腸剤などを繰り返すなど。
これだけではなく、他にも様々な原因があります。
- 糖尿病や内分泌(甲状腺など)の疾患の影響
- 神経・精神疾患(パーキンソン病、認知症、自律神経異常など)
- 薬の影響(抗鬱剤、降圧剤、鉄補充、痛み止めなど)
- 腫瘍など、消化器専門疾患
エビデンスのある対処法
中でもしっかりとエビデンスがあるものを簡単にご紹介。(下記参考文献より)
- 食事について:食物繊維や水分、運動。どれも大切。でもこれらがよく効くのは、偏った生活をしている人。どれを試しても改善しない人は、別のタイプかも。
- バイオフィードバック:日本では聞き慣れない言葉かもしれません。今後どこかで特集しますが、自分の体の状態から認知し修正していく方法。しかし、大腸の平滑筋(意識の言うことをきかない!)を自分でコントロールするのは至難の技。骨盤周囲に原因がある方にはきく。
- 内服薬:大腸粘膜の水分量やイオンバランスを調整し、腸管運動を動かすようにする。元々動きすぎている人には逆効果になることも。
またの機会に、体の仕組みや対処法などもう少し深く掘っていきたいと思います。
参考:Am J Gastroenterol 2004;99:750-759, J Am Board Fam Med 2011;24:436-451