1899年の便秘の論文。この「痙攣性便秘」とは今で言う「便秘型過敏性腸症候群」と思われます。消化器医師内でも「痙攣?」そんなの内視鏡で見たことないよね、と言われながら、つい2年前まで日本の便秘ガイドラインで「痙攣性」と言う用語が残ってました。
J-Stage論文リンク:Archiv fuer Verdauungskrank-hliten
(オープンアクセスです。以下の画像も公開されています。)
まとめると、「痙攣性便秘」という便秘の中でも消化管神経と関係していそうな疾患があると。どうも左下腹部を触診で押すと痛がったり、索状物を触れることもある。食事による便秘と合併することもあるけど、植物性の食事や浣腸が効果があるかもよ。という内容です。
これは、現代の教科書での便秘に関する内容と大きく差がないような…。すでに100年前にここまで詳細に観察されていたとは。特に腹部診察は、昔のほうが詳しく書かれています。
一方ガス腹になる人など、線維性食事を「食べすぎて」悪化することもあるので、鵜呑みにすることは要注意です。
低FODMAP食とお腹の関係:おなかハッカー
便秘型過敏性腸症候群は以下の診断基準です
ここでいう「半年以上前から〜」は、要するに急激な悪化などしていないことを指します。もし急に症状が悪化した場合は、感染症や腫瘍、ホルモンなどの影響も考える必要性が出てきます。
いわゆる便秘:機能性便秘
便秘型過敏性腸症候群は機能性便秘と非常に似ています。
しかし、病態は必ずしもイコールではなく、便秘型過敏性腸症候群の方は、「腹痛があるときだけ便が固くなりやすい。それ以外は通常便」という事が多いです。臨床の場面でも、最近、便秘型過敏性腸症候群に適応ある薬剤が出てきたので、上記見分けて頂くとより良い治療ができる可能性があります。
温故知新、とはいえ、昔の人が見つけた知見に胡座をかいていてはいけないな、と思う今日このごろです。