おなかと睡眠

 

胃痛、胃もたれがあるけど、健診などの内視鏡検査で「異常なし」と言われた。

このようなご経験をお持ちの方、いらっしゃるのではないでしょうか。数カ月以上続く、胃痛や食後の胃不快感、これら「機能性ディスペプシア(Functional Dyspepsia:FD)」という疾患が近年有名になってきています。

日本人成人の4人に1人は当てはまると言われています。アステラスの回し者では全くないのですが、見やすい説明だったのでご参考までに(機能性ディスペプシア(FD)|アステラス製薬|なるほど病気ガイド

 

機能性ディスペプシアと自律神経の関係

実はこの病気、お腹の症状以外に、睡眠中の交感神経活動が高いことが報告されています。(Dig Dis Sci. 2002;47:27-31)交感神経は自律神経を担っている重要な神経です。神経は、皮膚の粘膜などと違い、一度傷ついたら戻らない可能性が高いため、検査のために採取することが難しい組織です。自律神経がもつ複雑な機能を解明するために、間接的な計測から予測する研究が進んでいます。たとえば、心電図を応用した心拍変動などで間接的に測定する方法などがあります。

 

緊張した時、つまり体がONになっている時に上がりやすい神経

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人間の祖先は動物です。動物は敵に食われては種が途絶えてしまう。例えば、皆さんシマウマだとしましょう。そこにライオンが現れたらどうしますか?脇目もふらず、ダッシュで逃げるのではないでしょうか。パッチリ目を覚まし、胃で消化するエネルギーを止めて、「逃げる」にエネルギーを送るのです。そこに交感神経が密接に関わっているとされています。

 

不眠症と交感神経と機能性ディスペプシア

機能性ディスペプシアは、ピロリ菌やストレスホルモンなどの働きで胃の知覚・運動異常が起きるなどと、徐々に解明されてきています。同時にに不眠症との合併が多いことも指摘されています。

なぜ不眠と胃の症状が関連するのか、ストレス関連ホルモンと、脳と胃を繋ぐ自律神経の観点などから研究されています。何らかストレス環境などで、体が「ON」にスイッチが入り、日中胃の症状が出現、夜間も十分に体は休めず、悪循環になっていくことも考えられます。

最近は良い薬もいくつか出てきていますが、その前に「良質の睡眠」に意識を向けてみると、効果があるかもしれません。睡眠については、又の機会にお話しましょう。

参考:

Autonomic function in patients with functional dyspepsia assessed by 24-hour heart rate variability.

Dig Dis Sci. 2002;47:27-31

 
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