言わずと知れた、ラッパのマークの正露丸。
昔、「正露丸を虫歯につめると、痛みが取れる」というのに、なぜ頭痛などで使われないんだろう?なんて思っていました。
今日は正露丸がどうして効くのか、ちょっと面白い逸話も含めて書いてみようかと。
正露丸の成分
木クレソールという成分が中心です。名前のごとく、木から出来てきたもの。19世紀後半にドイツで発見され、殺菌剤として使われていたようです。ロシアに行く兵隊さんが寒冷地でお腹を壊しやすく好評だったいう有名な話、ありますね。
正露丸・セイロガン糖衣Aの秘密:匂いの秘密|正露丸・セイロガン糖衣A|製品情報|大幸薬品株式会社
お腹の殺菌剤?痛み止め?
殺菌剤であれば、風邪の時の抗生剤の様にすぐに効くのは厳しいかと思います。うーん、と思って調べると、さすが大幸薬品の社長さんも疑問に思っていられたようです(外科医も納得”正露丸が効く”理由|男の健康|ダイヤモンド・オンライン)
そこでわかったのが、腸の運動を止める作用があり、下痢の時は水分分泌を抑える作用があると。お腹を下す時は、腸がもの凄く動いていて、それによって痛みや不快感がでるといわれています。頭痛などの痛みと違って、腸の運動を一時的に止めてあげると、楽になることがあります。
なんと、ストレスホルモンとの関係が
腸の筋肉、もしくは神経のどこに効くのだろうか。そこで見つかったのが、ストレス関連ホルモン(CRH )が腸を過剰に動かす時に作用する受容体(5HT3, 5HT4)をブロックする、との論文。(Wood creosote prevents CRF-induced motility via 5-HT3 receptors in … – PubMed – NCBI)
日露戦争で好評だったのも、過酷な環境下でのストレスからくる腹痛を和らげていたのかもしれません。
因みに歯の関係
神経の「痛み止め」作用はないようです。詰めた人の体験談を読むと、口の中が正露丸臭でつらいようです。歯髄が壊死して、痛みが消えるだけとのこと。薬局で、別の痛み止めを買いましょう。。
最後に、多用は控えめに
正露丸、色々な歴史があって奥深いですねえ。
木から抽出したこの薬、そもそも木がこの物質をなぜ作り出していたのか不思議です。木に来た虫などに食われないように、自らの生存を助けるため?
最後に正露丸の多用は控えましょう(過敏性腸症候群・IBSの治療薬としても、長期服用は推奨されていません)。一時的な痛み止めであり、病気を根本から治すものではないのです。感染性腸炎の場合は、腸の動きを止めることで、菌が外に出にくくなり、悪化することがあります。また腹痛は色々な原因があり、1〜2回内服しても改善しない時は病院受診をおすすめします。
追記:2018年7月 アニサキス症について、特許取得
胃粘膜表面は殆ど痛覚神経がなく、アニサキス症の痛みについては、アニサキスそのものの「動き」の他、アレルギー性反応説もあります。この薬剤を用いた病院主導型臨床倫理研究がなされたわけではないので、今後の動きに注目です。