友人から、便秘の「の」の字マッサージは効くの?強さはどれくらいがいいの?という質問。便秘の患者さんは、仕事中にトイレを我慢して悪循環になったり、お腹が張って苦しくなったり、市販の下剤で腹痛が増したりなど、結構苦しい思いをしている方も多いです。
そのような中、オーストラリアの医療関係者より、がん患者だけでなく、過敏性腸症候群などにも「マッサージ」という処方が適応されているとの情報を頂きました。
そこで今回は、便秘と腹部マッサージについての論文をご紹介します。
お腹のマッサージは便秘に効果があるのかーランダム化試験Int J Nurs Stud 2009;46:759-767方法:60人の機能性便秘患者(いわゆる慢性的な便秘症)が対象。女性が90%。ランダムにマッサージ群、コントロール群に分け、マッサージ群は週5日、1回15分の専門家によるお腹マッサージを8週間施行した。お腹の症状についてスコア化して評価。結果:マッサージ群は4、8週の観察時点で、GSRS(腹部症状スコア)が便秘と腹痛のスコアで有意に改善した。
何となく言われていることを「数字」をもって表した
世の中には「知恵袋」が溢れています。しかし、なかなか医学・科学的論拠をもった情報が少ないのが現状です。血液検査など客観的データがない場合、被験者の感情に影響をうけることも多く、研究デザインが難しくなることもあります。
今日からできるお腹マッサージ
このチームは別の論文で、マッサージの強さについて「気持ちが良いと思う強さ」が適当と言っています。時々便を押し絞るように、グイグイ押すという患者さんがいますが、周囲に大動脈や膵臓などもあり気をつけた方が良いでしょう。
方法ですが、まさしく「の」の字。大腸は右下腹部の盲腸付近から始まり、ぐるっとへそ上を通って左下に降りてきます。姿勢は仰向けで、膝を曲げて行うと良いです。
どうして効くの?
筆者らは、このメカニズムは、お腹を動かす副交感神経を刺激しているのだろうと述べています。便秘には、以前の記事でも書いたようにいくつかのタイプがあります。自律神経測定を用いた研究などで、過敏性腸症候群などでは副交感神経活動が下がっているとの報告もあり、腸管運動が原因の便秘の場合、副交感神経を刺激して、整えることはリーズナブルと考えます。。
何より、ちょっとリラックスできて、副作用も殆どなしに1人で出来てしまうこの方法。便秘でお困りの方は、試してみると良いかもしれません。